大量の汗をストップしたい! 夏前に始めておきたい汗対策
「人前で突然汗が吹き出して困っている」
「汗を抑える方法を知りたい」
このような疑問や悩みをかかえていませんか?
もうすぐ夏です。気温が高いと、汗が止まらなくなるのが心配ですよね。汗で悩んでいる方にとって、夏はとても心配な季節でしょう。
そこで今回は、夏前に始めておきたい汗対策について薬剤師がご紹介します。
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1.汗の量が多い! 原因は?
・多汗症
・ホルモンの異常(バセドウ病など)
・更年期障害
多汗症とは「汗の量が異常に多く、日常生活に支障が出る」疾患のことです。全身に汗をかく「全身性多汗症」と、手足などの部分的に汗をかく「限局性多汗症」があります。
バセドウ病などのホルモン異常では、過剰分泌される甲状腺ホルモンによって代謝が高まり、大量の汗をかきます。
更年期の女性が大量の汗をかく場合、「ホットフラッシュ」の可能性があります。更年期には発汗を抑制する働きがある女性ホルモンが減るため、汗が出やすくなります。(※1)
2.汗の質にも注意!
汗のにおいやベタつきが気になる原因には、普段から汗をかく習慣がないことや、食生活、ストレスなどがあげられます。
普段から汗をかく習慣がない場合、汗腺のろ過機能が衰え、からだのなかにあるべきミネラルが汗とともに体表に出てきてしまいます。すると、濃度の高いベタついた汗になり、ミネラルが皮膚の常在菌と結合してにおうのです。
また、においの原因には食生活も関係します。肉などの動物性タンパク質には、アンモニアや硫化水素などの悪臭を放つ成分が含まれるため、肉中心の食生活だと汗がにおいやすくなります。
さらに、ストレスが多いと体内に「活性酸素」が増加します。活性酸素により皮脂が酸化すると加齢臭のようなにおいが発生し、汗もにおいやすくなります。(※2)(※3)
3.汗の悩みには漢方治療がおすすめ
3-1.なぜ汗に漢方が効くの?
漢方薬は、汗をかきやすくなる原因である「自律神経やホルモンバランスの乱れ」を整えることを得意としています。
また、漢方医学で多汗は、ストレスなどによって自律神経が乱れたり、水分の巡りが悪くなったりすることで、熱が体内にこもることなどが原因と考えられています。
漢方は、体質をストレスに耐えられるようにしたり、水分バランスをよくしたりすることで、老廃物や毒素と一緒に熱を排出して多汗を改善します。体質を根本から改善することによって、大量に汗が出る症状を緩和するのです。
3-2.即効性はある?
汗の悩みを漢方薬で改善する場合、残念ながら即効性はあまり期待できません。漢方薬は対症療法ではなく、からだの内側からじっくりと体質を改善していくからです。
「夏に向けて、一刻も早く汗対策をしたい!」という方には、汗を抑える塩化アルミニウムの塗り薬を使う、首裏へ保冷剤を当てる、出かける前に温冷シャワーを浴びるなどの対策がおすすめです。
また、多汗症の場合は、抗コリン薬などの自律神経を整える内服薬や手術(神経の切断や汗腺の除去など)などの対策があります。
3-3.おすすめの漢方薬
大量の汗を軽減するには、「汗腺の引き締め」や「体内の水分量の調節」が重要です。以下では、汗を抑える効果がある代表的な漢方薬を2つご紹介します。
<汗をかきやすい方におすすめの漢方薬>
・防已黄耆湯(ぼういおうぎとう):ぽっちゃりとしていてむくみやすい方
「防已」による体内の余分な水分の排水と、「黄耆」による汗腺の引き締め効果により、汗が大量に出るのを抑えます。(※4)
・補中益気湯(ほちゅうえっきとう):疲れやすく、運動をしていなくても汗が出るような方
「気」を補うことで、汗腺を引き締めます。(※5)
4.漢方薬は体質に合ったものを飲むことが大切!
5.汗を抑えて、安心して夏を迎えよう!
汗を抑える外用薬や内服薬などの対策もありますが、根本から体質改善できる漢方薬の活用もおすすめです。
夏が来る前に汗対策をして、安心して夏を迎えましょう!
〈参考サイト〉
(※1)厚生労働省研究班監修 女性の健康推進室 ヘルスケアラボ「ホットフラッシュ」
(※2)花王株式会社「汗の基礎知識 – 汗はなぜ臭うの?」
(※3)科学技術情報発信・流通総合システム(J-STAGE)特集:運動生理学分野における呼吸循環研究の最前線「運動時の体液変化とその循環および体温調節への影響」岡崎 和伸著
(※4)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ防已黄耆湯エキス顆粒(医療用)」
(※5)くすりの適正使用協議会 くすりのしおり「ツムラ補中益気湯エキス顆粒(医療用)」
[文:あんしん漢方]
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