あなたも片手懸垂ができる。自宅に居ながら強くなれるクライミングトレーニング ー懸垂編ー

アウトドアハッカー

【Pexels】

クライマーはトレーニングを行う際にクライミングジムに行きます。しかし、コロナの影響のみならず、仕事や勉学が忙しい時には、なかなか足を運ぶ時間を作れないことも。

そんな時には、自宅でフィジカル面の強化を行うチャンスです。今回はクライマーの命である懸垂のトレーニングをご紹介します。30分から1時間で終わる簡単なものばかりで、筆者はジムに通えなかった数ヵ月、これで鍛えて片手懸垂ができるようになりました。皆さんもぜひやってみてください。

なぜクライミングには懸垂が必要なのか

懸垂は、主に腕と背中の広背筋を鍛える運動です。壁に張り付く力が強くなったり、足が壁から離れてしまった時も腕と背中の力でしっかり支えられるようになります。また筋力に余裕が生まれ、一つ一つの動きをスムーズに行えるようになります。

クライミングにおいては足が一番重要、筋力はあまり必要ないと言われますが、これは半分嘘で半分本当。クライミングの世界には筋力がなければどうにもならないルート、課題がたくさんあるからです。そのため懸垂は、ぜひしっかり行っていただきたいトレーニングです。

用意するもの

懸垂は自重トレーニングといって、自分の体重で行うトレーニングです。したがって、用意するものはあまりなく、ぶら下がれる場所さえあればどこでもできます。公園の鉄棒や、押入れのへり、階段などです。

もしぶら下がれる場所が近くにない場合は、懸垂用の器具を用意してください。
器具には、自立しているものとドアなどを利用して設置するものの2種類があります。筆者のオススメは自立式ですが、スペースを取るのが難点。一人暮らしの賃貸などでは後者でもいいと思います。

もし懸垂が連続で10回できるようになったら、ウェイトを加えたトレーニングになるので、本格的にやるならウェイト用のベルトなども必要になります (筆者はリュックに水を詰め込んでウェイト代わりにしていました)

一番重要な休息と食事について

まず筋力を増やす上で一番大切なのは、休息と食事です。どんなトレーニングをしても、これがしっかりしていないと効果が期待できないどころか、逆効果になってしまいます。

筋肉はトレーニングで疲れると超回復を行い、この期間に筋力が増えます。超回復が完了するまでの期間は部位によって様々ですが、懸垂は最低1日、できれば2〜3日間隔でトレーニングしたほうが効果的といわれます。しかし、この感じ方は人それぞれで、筆者は1日で疲れが取れたので、1日おきにトレーニングをしていました。

また、食事をしっかり取らなければトレーニングで減った分のエネルギーを体の中から取り出そうとして、筋肉が分解されてしまいます。そのためトレーニング前には、炭水化物やタンパク質をしっかり取ってください。タンパク質はプロテイン等からも取れます。

まずは基礎的なことから

最初にバーの持ち方やフォームなど、基礎を整理します。これがしっかりできないと効果が落ちてしまいます。

バーの持ち方
順手と逆手があります。画像の左の人が順手、右の人が逆手です。クライミングで必要な筋力は順手で鍛えられます。逆手でもいいですが、上腕二頭筋ばかり鍛えられてしまうので、クライミング的には効果が薄いです。

正しいフォーム
部活などで懸垂は顎をバーの上まで上げろと言われた方も多いのではないでしょうか。
しかし、それは重要ではありません。最も重要なのは、自分の胸をバーにより近づけることです。胸を張って、目線をバー、または天井に向けると自然とうまくいきます。

ワイドグリップ、ナローグリップ、ノーマルグリップ
懸垂のグリップには大きく、ワイドグリップ、ナローグリップ、ノーマルグリップの3種類があります。それぞれの特徴は、

・ワイドグリップ:広背筋に効く
・ノーマルグリップ:広背筋と上腕二頭筋に効く
・ナローグリップ:上腕二頭筋に効く

クライミングにはワイドグリップが効果的で、鉄棒でやる場合は限界までワイドにすると、とてもよく負荷がかかります。

レベル1 懸垂がまだできない人用のトレーニング

まだ懸垂が一回もできない人は、ここから始めてください。

メニュー1 オーストラリアンプルアップ
https://www.youtube.com/watch?v=bHO0A4ZF_Zg

オーストラリアンプルアップは、足を付いた状態で懸垂するものです。体を水平に近づけるにつれて負荷が強くなるので、まずは無理のない角度で挑戦してみてください。これを限界回数×3セット行います。

なお動画ではバーを使っていますが、大きめのダイニングテーブルでも出来ます。

メニュー2 ネガティブトレーニング
自分の体を引き上げるのではなく、引き上げた状態からゆっくり体を下ろしていくのが、ネガティブトレーニングです。実は、引き上げるより下ろすほうが負荷が高く、効果的に筋力を増大させられます。最低でも5秒はかけて体を下ろすといいでしょう。

初心者の方はまずこの2つのメニューを中心に行い、懸垂ができるようになったら次のステップへ進みましょう。

レベル2 懸垂ができるようになった人に向けた効果的な懸垂メニュー

ここからはより効果的な懸垂のメニューをレベル別に紹介していきます。

ステップ1 途中で止める懸垂(懸垂が3回位連続でできる人向け)
これは、懸垂を一気にやるのではなく、途中で止めてホールドするトレーニングです。

初めは、腕がほぼ伸びている状態、90度になっている状態、一番上まで上げた状態で止めるといいでしょう。もちろん、体を下ろすときも同じように途中で止めます。

ホールドする秒数は、初めは2秒ほどから始めてください。10秒できる頃には連続10回くらい懸垂できるようになっていると思います。そうしたら次のステップへ進みます。

ステップ2 ワイド、ノーマル、ナローを満遍なく行う(懸垂が連続で10回できるようになった人向け)
懸垂が10回連続でできるようになったら、ノーマル、ワイド、ナローを満遍なくやるトレーニングがオススメです。それぞれ限界回数×3セット行います。間の休憩は30秒から長くても1分にすると、より効果的です。最後のほうは連続でできるだけの筋力が残ってないかもしれませんが、足を途中で付いてもいいので、しっかりやりきることが大切です。

筆者の例ですと、

・ノーマル:20回×3セット
・ナロー:20回×3セット
・ワイド:15回×3セット

の合計165回を行っています。

ステップ3 加重懸垂(懸垂を連続10回、悠々できるようになった人向け)
懸垂10回なんて朝飯前となった人は加重懸垂に挑戦しましょう。

これは、加重用のベルトとダンベル、または壊れてもいいリュックを背負って行うトレーニングです。リュックを使う際は、重量を測れる吊り下げ式のはかりを用意したほうがいいです。連続10回が楽になる頃には、10kg程度の重りは楽に感じると思うので、15キロくらいから始めます。リュックは前に背負ったほうが、より負荷がかかります。

筋力にもよりますが、15kgだと10回はできないかもしれません。その場合は限界回数×3セットを行いましょう。また、レベル1で紹介した途中で止める懸垂やネガティブトレーニングのみを行うのも効果的です。

15キロで連続10回できるようになったら、20キロ、25キロ、30キロと増やしていきます。このあたりで大きいリュックが必要になります。持っていない場合は詰めるだけ詰めたリュックを背負って、回数のほうを増やしていきましょう。

レベル3 片手懸垂(荷重懸垂に飽きた猛者向け)

荷重懸垂も楽にこなせてしまい、もう飽きた猛者は、片手懸垂に挑戦しましょう。30キロで10回連続できれば、片手懸垂ができる筋力はすでにあるはずです。フォームさえしっかり覚えれば、高負荷な片手懸垂ができます。

ステップ1 まずはデッドロックから
片手懸垂の前に、まず片手デッドロックから始めます。これは、肘を90度にした状態で静止するトレーニングで、フォームを覚えるのにも重要なプロセスです。

90度ができたら一番上まで引き上げた状態、半分よりも下のところでロックしてみましょう。この時に体が回転しないように気を付けてください。

ステップ2 できなかったら補助あり片手懸垂
もしフォームを覚えても出来なかったら、補助あり片手懸垂で必要な筋力を付けていきます。

補助の方法は2つあります。1つは、腕のどこかを掴んで片手懸垂する方法です。手首、前腕、肘、肩、脇腹の順に負荷が高くなっていきます。そのいずれかを掴んだ状態で懸垂を行います。

2つ目の補助方法は、もう片方の手でバーを少し持つ方法です。右で懸垂する場合は、左手の小指などを補助に使い、片手で出来るようにしていきます。注意点は、補助のほうに力を入れすぎないこと。負荷をかけすぎると怪我をしかねません。

片手懸垂が無事できたら
このレベルになると、どんなダイナミックなムーブも大体できるようになります(もちろん、保持力なども関係します)。あとは回数を増やしたり、カチで行ったり、3本指にしたりと様々なバリエーションがあるので、ぜひ試してみてください。ポケットが多い、カチばかり、スローピーな課題など、自分の登りたい課題を設定すると良いでしょう。

番外編 本当に時間がない時のトレーニング

上記のトレーニングは30分から1時間を目安にしています。しかし、忙しかったり疲れていたりして、そんな時間を取ることができない日もあるでしょう。
そんな時にも行える、5分以内に終わるトレーニングを紹介します。

メニュー1 地獄のタバタ式トレーニング
トレーニングを行っている方なら聞いたことがあるであろう「タバタ式トレーニング」。20秒全力でトレーニング+10秒休み、これを8回行う4分間のトレーニングです。そのきつさから地獄の4分間といわれます。

一般的に、このトレーニングはスクワットや腕立て伏せなどいろいろなトレーニングを混ぜて行いますが、これを懸垂だけで行います。おそらく5セット目からは2〜3回しか上がらなくなりますが、20秒間はしっかり力を入れて、上げる努力をしましょう。最悪ぶら下がるだけでも効果があります。終わるころには腕が動かなくなります。

メニュー2 ワイドグリップで超ゆっくり懸垂
これは筆者が時間がない時に行っているトレーニングで、動作を止めず、とてもゆっくり懸垂をする方法です。筆者は一回の懸垂を上げるのに20秒、下げるのに30秒かけて懸垂するのを3回連続でやっています。これだけでかなりへとへとになり、ネガティブトレーニングの効果で効率的に筋力を増やすことができます。3分とかからず終わるので、時間がない時にオススメです。

続ければ片手懸垂まで行けます

懸垂が一回もできない人から見れば「片手懸垂なんて夢のまた夢」と思われるかもしれません。

しかしトレーニングをしっかり行えば、結果は付いてきます。懸垂が10回連続でできるようになった頃にはクライミングも安定して、余裕をもって登れるようになると思います。

片手懸垂ができるようになると、さらにムーブに余裕が生まれますし、ダイナミックなムーブがより楽しくなります。ジムに行けないときこそフィジカル面の強化のチャンスだと思って、トレーニングに挑戦してみてください。
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