私は今ひとつの大きな目的を持っていて、その目的を阻むどでかい壁に直面しています。その壁とは、何を隠そう夫です。
実は私は太りやすい体質で、若いころから10年くらいのサイクルでダイエットしては太りまたダイエット…という生活を繰り返して来ました。最近ヒッキー生活が続いているためか急激に太ってしまったので、そろそろダイエットする周期に来ていることもあり、重い腰を上げてダイエットを決意しました。
しかしここにきて、私は今の生活が10年前とは全く違っていることに気が付きました。結婚当初会社員だった夫は脱サラ・起業して事務所を借りて仕事をするようになり、私は自宅で経理を担当。やることさえやっていればあとは自分の好きなように時間を使い、好きなものを食べることができました。しかし子ども達が独立し、住宅ローンも終わってこれまでのようにガツガツ働く必要もなくなったため、私たちは会社を廃業して(株式会社とか特例有限会社とか、法人は維持するだけで結構税金かかるんですよ)ここ数年夫は自宅の一室で以前付き合いがあったお客さんからたまに依頼された仕事をする、というぬるいライフスタイルがすっかり定着していたのです。
そうなると一日中一緒にいて、食べるものも同じです。私がダイエットのために炭水化物を減らしたり揚げ物を避けたりしていると、いくら食べても太らない憎たらしい体質の夫は「なんで食べないの?」「こんなにおいしいのに」。
つまらなそうな顔を見ると、つい罪悪感を感じてちょっとだけのつもりが気付けば普通に完食。また、いつの間にか二人の共通の趣味になっていた「週末ラーメン屋巡り」を、私の都合で一方的に中断するのは非常に心苦しいものがあります。平日は殆ど家にこもりっきりで猫と多肉植物に明け暮れている私も、週末くらいはどこかに出かけたい、そんな時に優しい笑顔の仮面を被った夫の悪魔の誘惑、「今日はどこのお店に行く?」
ああ、コイツさえいなければ…。
重要なのは『共通の目的』
独身時代、「結婚するなら価値観が似ている人がいいなぁ〜」とか「共通の趣味を楽しめる人がいい」なんて甘ったるいことを考えていましたが、今の私はタイムマシンに乗ってあの頃の自分をぶん殴りたい気持ちで一杯です。
大体価値観なんて恋愛中はお互いが相手に合わせてしまうので、ある一定期間一緒にいて何らかの修羅場を経験しないと絶対に分からないし、そもそも価値観は比べるものではなく尊重するもの。たまたま二人に同じ趣味があったとしても、各々レベルも違えば熱の入れようも違います。お互いが歩み寄る努力をしない限り、たとえ同じ趣味であっても一緒に楽しむのはまず不可能です。
結婚生活30数年、この道(?)のベテランであるおばさんは声を大にして言いたい。結婚で重要視すべきは、共通の価値観でも趣味でもない、二人で「共通の目的」を持つことができるか、それだけです。
恋愛中に二人の共通の目的だった「結婚」という一大イベントが終わると、その後は現実的な日常生活の継続です。結婚生活では常に二人が同じ目的に向かって努力し、力を合わせてそれを達成することが要求されます。次々と現実的な問題に直面し、意見が対立したり気持ちがすれ違ったりすることもあるでしょう。でも、芯の部分に二人の共通の目的があり、それに向かって脇見をしないで突っ走っていれば、夫婦はまずうまくいきます。例えばそれは夫婦でお店を開くことだったり、マイホームの購入だったり、子どもを立派に育て上げることだったりと、時に大きな出費を伴いながら長い月日をかけて達成するものであり、お互いの信頼と協力なしでは成し得ないものです。
結婚相手を選ぶ時に肝心なのは、相手がこうと決めたら目標に向かって一心に努力できる人なのかを見極め、その人が目標とすることに自分が共感できるかです。
しかし悲しいかな、目標は真面目に努力を続けることでいつか達成されます。子どもは独立し、住宅ローンは完済する日がくる、その時目標を失った二人に何が残るのか。
うちの場合、私のお腹についた肉。まずこれを何とかしたいのだけれど、二人の共通の目的にはならないのです。ああ、もどかしい。
最近の結婚事情
昨年は自分の娘を始め友人のお子さんとか甥とか姪とか、私の回りは結婚ラッシュでした。
最近は昔と違って女性もある程度社会に出て経済力をつけてから結婚するパターンが増えていて、新婦が新郎より年上で貯金も多いケースはザラ。そうなると、当然新婦側も披露宴の形式とか、結婚に対するお金のかけ方等で発言権が大きくなります。
そのせいか皆さん、結婚式や披露宴以外のいわゆる「結婚関連費」というものにかける金額が結構半端ない。例えば脱毛やウエディングエステ。私たちの頃もその業界はあるにはあったものの私のような下層OLには無縁で、ごく一部のセレブなマダムやご令嬢が通われる優雅なイメージでした。今では若い女性も気軽に利用されているようなのでお値段もそこそこ庶民的なのかと思っていたら、娘に聞いてぶっ飛びました。さらに『脂肪細胞破壊コース』など、かなりナマナマしいプランに母は引きました。技術の進歩は恐ろしい、いや素晴らしい。最近はお金さえ払えばダイエットなんてしなくても痩せられるのだと思いきや、式当日の娘は
「あんだけ払ってそれかい!?」
新婚旅行で軽く海外に行けちゃう金額、それもったいなくね?
ダイエット婚ってどうよ
そういうわけで、今回私が提案するのは『ダイエット婚』です。
色んなサイトを調べてみても、『街コン』『趣味コン』はよく目にするものの、『ダイエット婚』は殆どと言っていいほど見当たりません。それどころか、「男性も女性も、婚活するのにダイエットしておいた方が有利?!」なんて、婚活とダイエットを全く別物と考えているケースが多い。冷静に考えれば、婚活とダイエットをまとめてやっちゃえば合理的で話も早いと思うのですが。
ダイエットしたい、絶対成功させるという強い共通の目的を持った男女が出会い協力し合いながら、ナイスバディと強い絆をゲットして結婚する。完璧じゃないですか。
ダイエット婚、実際何をするか
ここからは完全に私の妄想で書かせていただきます。
私が婚活支援業界で働いていて上司から企画を任され、『ダイエット婚』コースを設置したとします。
まずこのコースの入会条件として男女ともBMIは25以上。効率よく安全にダイエットの成果を上げるため外部業者と連携し、トレーナーや管理栄養士といった専門家の指導を組み込むため、会費は普通料金プラス20万円くらいとしましょう。(普通にウエディングエステやトレーニングジムに通うのに比べれば、かなりリーズナブルな価格設定だと思います)
コースの途中で恋愛関係になったとしても、目標体重に達するまでは個人的な連絡の取り合いを禁止します。(破ると罰則として双方に追加料金50万円+退会)
では実際にシュミレーションしてみましょう。
お客様:すみません、私結婚したいんですが、この体型のせいでいつも美人の引き立て役、好きになった人にはみんなフラれてしまいます。
担当:まぁ、それはお困りですね。それにしてもお客様、眩しい瞳、セクシーな唇。ファッションセンスも抜群ですね。
お客様:顔のパーツと化粧のテク、服のセンスには自信があるのですが、意志が弱いので一人ではなかなかダイエットできないんです。でもこのコースなら痩せられるような気がします。私、絶対に痩せて結婚して幸せになりたいんです。一緒にダイエットしてくれて、もしかしたら結婚相手にもなってくれそうな素敵な男性を紹介していただけますか?
担当:お任せください。最初は素敵ではないかも知れませんが、理想のお相手をお探しいたします。こちらのコースで婚活されることで、お客様ご自身も見違えるようなプロポーションに生まれ変わることをお約束いたします。披露宴のドレスは少なくともスリーサイズはダウンされることでしょう。
お客様:本当に、こんな私でも痩せて結婚もできるかしら?
担当:ご安心ください。お客様と同じ目的を持ち、励ましてくれる男性をご希望の条件からお探しします。お相手にお望みのことなどありましたらお聞かせいただけますか?
お客様:そうですね、理想は年収が△△万円くらい、仕事は〇〇関係なんかいいですね。
あと身長は××以上、顔は「中村とも・・・」。
担当:かしこまりました。それでは年収は△△万円以上、お仕事は〇〇関係、身長は××以上、お顔立ちは「原石」ということで。
後日条件に合った会員様を選定し二人(またはグループもあり)を提携トレーニングジムにご案内。そこで担当者立会いのもと体重測定し、それぞれの目標体重を明確にします。この時点で相手に恋愛感情を持つことができなくても、その後定期的に集まりトレーナーの指導の下一緒に筋トレを行い、栄養士によって作られたダイエットフルコース料理を食べながら歓談し、徐々に距離を縮めていきます。
参加者の毎日の行動や食事内容は逐一こちらに報告され、担当者はそれを参加者だけがログインできる極秘サイトにアップ。それを励みにダイエットも効率よく継続できます。個人的な連絡は禁止ですが、サイト内ではお互い自由にコメントのやり取りをしたり、画像や動画の投稿が出来るようになっています。
だんだん痩せて魅力的になっていく相手(参加者)を見ていると、次第に「あの人ステキ」という感情が芽生え始め、次に集まる日が待ち遠しく感じるようになります。その頃には二人はすっかり打ち解け合い、傍から見てもいい感じに。相手の連絡先を知りたい一心で二人とも狂ったようにラストスパートをかけ、めでたく目標体重に達した時、担当者はわざとらしく二人に「いかがですか?」と個人的なセッティングを提案します。(あくまで私の妄想です。編集さん、ボツにしないでくださいね。汗)(編集部註:ニヤニヤ見守りながら生暖かい感じに編集を通過しております)
ダイエット婚のメリット
ダイエット婚のメリットは、結婚関連費用を抑えられるだけではありません。
今後の結婚生活において非常に重要になるポイントを、ともにダイエットを成功させるプロセスの中で知らず知らずのうちに押さえているのです。
メリットその1:お互いを深く知ることができる
ダイエットは本人の強い意志なくして成功することはありません。その果てしなく高いハードルを越えるという共通の目的を持った二人が出会い、お互いに協力してそれを達成する過程で、一般的な恋愛では見極められないお互いの持つ強さや弱さ、あるいは本当の優しさを垣間見ることができます。また、一つの大きな目標を二人で達成することで、心の絆は一層強くなるでしょう。
(なるはずです)
メリットその2:リバウンドしにくい(かも知れない)
ダイエットがもたらす外見的・内面的な変化は、一時的にその人を変える力を持っています。しかし人間は弱いもの。一人でいると時間の経過とともにその感動は薄れていき、気がついたら元通りなんてことも。しかし二人の愛が深ければ深いほど、一緒に頑張って出した結果はとても貴重で簡単にそれを無駄にする気にはなれないはずです。
また、ダイエットのコツを掴んだ二人は結婚後も必要に応じてお互いのウエイトコントロールに協力的になり、生涯に渡って肥満とは無縁なスリムなボディを維持した健康的で素敵な夫婦になるに違いありません。きっと。
なにはともあれダイエット
少々悪ノリが過ぎましたが、要は太りやすい体質の人がスリムな人に憧れて簡単に結婚してしまうと、私のように後々大変ってことです。
結婚後にダイエットを成功させるには、「絶対に痩せてやる!」という強い意志もさることながら、パートナーの理解と協力が必要不可欠だとつくづく思う今日この頃。もし私がもう10年若くて独身なら、何とかその業界に潜り込んで『ダイエット婚』なるものを企画し、まず自分が実践するのですが。
ないものねだりをしても仕方がないので、地道にダイエット頑張ります。おー!
[記事提供:国内最大級の婚活パーティー・お見合い・街コン情報サイトParties(パーティーズ)]
※健康、ダイエット、運動等の方法、メソッドに関しては、あくまでも取材対象者の個人的な意見、ノウハウで、必ず効果がある事を保証するものではありません。
関連リンク
- 著者名
- ココカラネクスト
- 著者紹介文
-
日々快適に、そして各々が目指す結果に向けてサポートするマガジンとして、多くの方々の「ココロ」と「カラダ」のコンディショニングを整えるのに参考になる媒体(誌面&WEB)を目指していきます。