3月15日にロサンゼルスで行われたLAマラソン。ドジャースタジアムをスタートし、サンタモニカをゴールとするこの大会に参加した筆者が、前編に引き続き、「LAマラソンを走るべき10の理由」と題して、その魅力を紹介する。
6.参加賞や完走メダル、大会グッズがスタイリッシュ
頻繁に大会にエントリーしているランナーからよく聞くのは、「日本の大会の参加賞や完走者Tシャツ、グッズがカッコ悪い!」ということ。実際、筆者ももらったものの封を開けていないTシャツやタオルなどの大会ノベルティが少なくない。
大会を記念して販売しているTシャツも、各人の好みはあると思うが、ニューヨークシティマラソン、ホノルルハーフマラソン ハパルアなどをのぞくとお金を出してまで買いたくなるものは少なかった。
完走者メダルも同様で、2012年のロックンロールマラソンラスベガス大会や13年のニューヨークシティマラソンはスタイリッシュだったが、それ以外の大会のメダルは後日見たくなるようなデザインではない。
そんなレース関連グッズについてもLAマラソンは一切の手抜きがない。まず参加賞のTシャツはアシックス製の機能性とデザイン性に優れたものだし、販売しているTシャツが本当にスタイリッシュ。あまりにカッコいいから3種類購入したが、帰国後に「もっと買っておけばよかった!」と後悔するほど。
カリフォルニアの陽気さを表現したデザインやストリートファッションテイストをプラスしたグラフィックなど、さまざまな好みのランナーに対応するアイテムがラインアップされており、そのいずれもがカッコいい。
ランニングシューズに関しても、限定モデルがリリースされた。その対象モデルとなったのはアシックスの「33-DFA」。独自のグラフィックをマルチカラーでアッパー(甲の部分全体の総称)に配しており、ゼッケンの受け渡しが行われるエクスポ会場でも良好なセールスを記録していた。
アパレルやシューズだけでなく、メダルもロサンゼルスという街の要素を小さな面積に巧みに凝縮することに成功。表と裏でデザインを変更するなど、かなり凝った完走メダルとなっているのだ。
このように他の大会が手を抜きがちな関連グッズもLAマラソンは徹底的にこだわっている。ちなみにLAマラソンの正式名称は「アシックス LAマラソン」で、スポーツ用品のオフィシャルサプライヤーであるのみならず、アシックスが冠スポンサーとなっている。
7.温暖で湿気の少ない走りやすい気候
LAマラソンがこれまで行われてきた3月のロサンゼルスの平年最高気温は20度ほど。高温多湿の日本と異なり湿度が低くカラッとしているので、とても走りやすい。今年こそ30度近い気温となり、ランナーの健康を配慮してスタートを30分早めることとなったが、これは特殊なケース。来年度は2月開催に変更されるので、温暖で湿度の低い好環境において半袖シャツにショーツといった軽装で走ることができるはずだ。
8.バラエティに富む観光スポット
海外マラソンに参加するということは、ただ走るだけでなくビフォア&アフターが充実しているかどうかも重要な要素となってくる。家族連れで参加するランナーは、特にこのポイントをクリアしないと渡航自体が危うくなる。
その点、豊富な観光スポットが控えているロサンゼルスエリアは家族のOKを取り付けやすい。ユニバーサルスタジオ、ディズニーランド、カリフォルニアアドベンチャー、マジックマウンテン、ナッツベリーファームといった世界的に著名なアミューズメントパークが5つも営業しているので、レース前後に家族で楽しむことができるだろう。
ただしレース前に行く際には、疲れを残さないよう歩き過ぎないことに留意したい。また、恋人と一緒なら、ロサンゼルス沖から約40kmにあるサンタカタリナ島がオススメ。コバルトブルーの海に囲まれており、各種マリンアクティビティーを楽しむことができるし、何もせずリラックスするのにもピッタリのリゾートアイランドだ。
9.ショッピングスポットが充実
ショッピングは海外に渡航する際の大きな楽しみの1つ。ロサンゼルスは世界屈指のショッピング天国であり、ファッション、スポーツ、アウトドア、コスメ、オーガニックフードなど、あらゆるジャンルのほとんどのブランドのグッズを購入することができる。
これがポートランド、ホノルルといった規模の街だと、「○○というブランドは少しマニアック過ぎて売っている店がなかった……」ということがあったり、ラスベガスのようなカジノタウンでは著名なファッションブランドはストリップ地区のフォーラムショップスやファッションショーといったショッピングモールで購入できるが、パタゴニアのようなアウトドアブランドや本格的なランニンググッズは、郊外にある専門店でないと購入できない。
ロサンゼルスはダウンタウン、ビバリーヒルズ、サンタモニカ、アボットキニー……とエリアは分かれているが、全世界のほとんどのブランドが出店しているので、ショッピングフリークのランナーも欲しいアイテムを必ずや入手することができるはず。レース前後のショッピングも大きな楽しみとなるだろう。
10.ビフォア&アフターの食事も多彩
エッグスラット(メイソンジャーで湯せんした卵とマッシュポテトを独自の調合でミックスしたシンプルな卵料理)のように現地で流行しているメニューを食べるのも旅行の醍醐味(だいごみ)の1つだが、レース前後の食事はパフォーマンスの観点からしてもランナーにとって重要。レース前の食事は消化がよくエネルギーになりやすい炭水化物、レース後は断裂した筋繊維の修復に効果的な良質なたんぱく質が最適だが、せっかくなら味も美味しい店がいい。
ロサンゼルスは地元料理をはじめとして、イタリアン、フレンチ、メキシコ料理、日本料理、中華料理、韓国料理などが充実しており、ランナーの胃袋を満たしてくれる。特にレース前は日頃慣れ親しんだメニューを食べるのがよいとされており、「レース日の朝は必ずお米を食べる!」というランナーも、ロサンゼルスエリアならおにぎりを手に入れるのも可能だ。
また、レースで満足いく結果を得られたランナーにオススメなのがルーフトップバー。ロサンゼルスでは屋上に席を設けたルーフトップバーを開設するホテルが増えており、人気となっている。高層ビルが林立する夜景を眺めるオープンエアの空間で、勝利の美酒を酌み交わすのは最高の記念となるだろう。
このようにLAマラソンは他のマラソン大会と比較しても、参加すべき理由がたくさんある。どうせ海外大会にエントリーするなら、前後のアクティビティが充実していたほうがいい。14年度の日本からエントリーしたランナーは200名ほどであったというが、各メディアで今年の大会の様子が紹介されることによって、来年度は参加者が大きく増加するかもしれない。
海外レースのなかでは渡航費用も安く抑えることができるので、「来シーズンは絶対にフルマラソンデビューしたい!」「フルマラソンをデビューするならある程度名前の知られた大会がいい!」といったランナーにオススメ。ただしアップダウンのあるコースは決してイージーではないので、しっかり練習してからレースに臨みたい。そのほうがアミューズメントパーク、ショッピングをはじめとしたビフォア&アフターのアクティビティも楽しいはずだ。
関連リンク
- 著者名
- 南井正弘
- 著者紹介文
-
フリージャーナリスト。1966年愛知県西尾市生まれ。スポーツブランドのプロダクト担当として10年勤務後、ライターに転身。スポーツシューズ、スポーツアパレル、ドレスシューズを得意分野とし、『フイナム』『...