「笑顔が生まれるから山を歩く」 “山ガールのカリスマ”四角友里

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【坂本清】

 かつて山登りは、男の世界とされてきた。「きつい、汚い、危険」――いわゆる3Kのイメージがつきまとい、女性には敬遠されるスポーツだった。それが、2009年ごろからふって湧いた「山ガール」ブームによって、その状況は一変する。高尾山や富士山といった登山客に人気の山には、週末ともなれば、あざやかな服装の女性たちが殺到するようになった。

 このブームの決定的な後押しになったのが、「山スカート」の存在だろう。それまでのイメージを一変させ、「オシャレをして山に登る」という新しい世界観を生んだ。その山スカートを日本に広めたのが、“山ガールのカリスマ”とも呼ばれる四角友里さんだ。

きっかけは「自分にとっての大冒険」

四角さんにとって初めての山歩きとなった上高地 【Getty Images】

 幼少期からずっと、スポーツとはまったくの無縁。「エスカレーターに乗るのも苦手」と語る運動オンチな彼女が、今では「多いときは週3回」も山に通うほどに夢中になった。きっかけは2003年に訪れた上高地だった。

「その時は、観光で連れて行ってもらったんです。最初から山登りだと気合いを入れて行ったわけではなくて。何か知らない世界にポンと入れられて、手付かずで人間の比じゃない大きさの雄大な自然に囲まれたり、包まれたり、見つめられたりということの、幸せな気持ちをそこで味わいました。

【坂本清】

 上高地周辺は観光地としても整備され、ハイヒールで歩いている人がいたり、ビール片手で歩けるような場所でした。それでも、私の中では初めての北アルプスの山々。緊張していたし、自分にとっては大冒険だったんです」

「山の世界、すべてが怖かった」

【写真提供:四角友里】

 この小さな“大冒険”を経験して、そこからトントン拍子に山にハマっていったのかと思いきや……、やはり世間と同じ「山」へのイメージが障壁となったという。

「とにかく山の世界が怖すぎて……。ニュースで山の遭難とか見るじゃないですか。何も知らないながらに、植村直巳さんは山で遭難して亡くなったとか知っていましたし。

 上高地では“観光客の人”と、大きなザックを背負った“山の人”に二分化されていました。それを見て、女性でも同じように重いザックを背負えないといけないのだろうと思ったし、アウトドアウェアもなじみがないものでした。そうした山の世界がかもし出すもの、すべてが怖かったんです。
 自分の人生を振り返ったときに、体育をできたためしもなくて……。平均台を向こう側まで渡れなかったり、エスカレーターではうしろの人に押されるぐらいに乗れないんです。動いているものに足を乗せるのが苦手で。そんな風に(スポーツを)できない部類に入るのを知っていたので、自分が山に行っていいのかなと思っていました」

山スカートとの運命的な出会い

【写真提供:四角友里】

 四角さんに運命的な出会いが訪れたのは、2004年のニュージーランド旅行。そこで経験した2度目の山歩きが、彼女の人生を変えていく。

「その時は、1時間半の平坦な道のりをゆっくりと歩いて山小屋に泊まって、また同じ道を帰ってきたんです。途中の湿原で見たクモの巣が光を浴びて宝石みたいにキラキラしていて、クモの巣をキレイだと思うのが人生で初めてでした。そうしたビックリを経験しながら、たどり着いたときの夕焼けが、またキレイだったんですよね。涙が溢れました。
 決して何かをよじ登って歩いて乗り越えていったわけでもなく、楽しいの延長で一歩を重ねていった先にあったんです。だから、山のレベルに関係なく、その人が頑張ったり、勇気を持って一歩踏み出したときに、自然は必ずちゃんと見せてくれる特別なものがあるんだなと思って。それで、山がすごい好きになっちゃったんですよ。

 そのときに出会ったバックパッカーの女の子が、山スカートをはいていたんです。私は山小屋に泊まるのが初めてで、着替えをどうしたらよいか分からなくて戸惑っていて。でも、その子はスカートの下でパッと下着を着替えていて、それがとてもカッコよかったんです(笑)」

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習慣的にスポーツをしている人やスポーツを始めようと思っている20代後半から40代前半のビジネスパーソンをメインターゲットに、スポーツを“気軽に、楽しく、続ける”ためのきっかけづくりとなる、魅力的なコンテンツを提供していきます。

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